いつもの幅優先探索癖。アトラスの用途は美術解剖と消化器系の構造理解。
ノート
肉眼解剖学はアプローチの違いから局所解剖学と系統解剖学に分けられる。
体表解剖は解剖学的構造と体表の特徴との関連を視覚的に理解するための節。 微視的レベルで観察する組織学—又の名を顕微鏡解剖学—が肉眼解剖学に対置する。
他にも、胚からの成長過程に着目する発生学、部位の機能を明らかにする生理学、物質代謝の機序に興味をおく生化学等が周辺にある。
テキスト、アトラス、カラーアトラスが一冊ずつあれば事足りそう。 個人的には『グレイ解剖学』、『ネッター解剖学アトラス』、『解剖学カラーアトラス』。 余裕があれば『プロメテウス解剖学アトラス 胸部/腹部・骨盤部』。
教科書
グレイ解剖学 原著第 4 版
2019(原著 2018)
- 腹膜と腸間膜の節に限ってみても、筆者の「絶対にわからせる」という強い意志を感じさせる説明によって圧倒的にわからされてしまう
- 各章は概観、局所解剖、体表解剖、臨床症例から構成されている、肉眼解剖学に的を絞った本
- 腹腔・腹膜・腸間膜関連はプロメテウスより詳しい(特に一部腸管が二次的に腹膜後器官になる過程等)
- Meckel 憩室の臨床症例が写真とともに載っている
アトラス
ネッター解剖学アトラス 原著第 6 版
2016(原著 2014)
- 元々ノバルティスの販促のために描かれたイラストをまとめ上げたもの
- 組織と筋肉、血管、神経がまとまって描かれており、位置関係がわかりやすい
- 断面解剖の CT と図譜両方がある(プロメテウスは CT のみ)
- グラントと比べてカラフル
グラント解剖学図譜 第 7 版
2016(原著 2013)
- イラストは立体感を把握しやすいタッチ
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第 3 版
2017(原著 2014)
- 全身の骨格から筋肉、血管、神経、リンパ系が一通り概説されている
- ポージングの参考になる関節力学の知見が豊富
- 消化器系は解説なし
- 病例と診断方法、その施術指南が特徴
プロメテウス解剖学アトラス 口腔・頭頸部 第 2 版
2018(原著 2015)
- 脳、頭部、口腔、頸部に絞って解説
- 口腔から食道、胃までの部分に関する記述が非常に豊富
- 歯科臨床を意識した紙面構成
- 口腔・頭頸部以外の部位についての説明もざっくりされている
プロメテウス解剖学アトラス 胸部/腹部・骨盤部 第 3 版
2020(原著 2015)
- 胸部から腹部にかけて発生学・解剖学の図説が中心
- 食道の筋の機能的構造の図解など、グレイ解剖学には載っていない内容も多い
プロメテウス解剖学 コアアトラス 第 3 版
2016
- プロメテウス 3 巻を一冊にまとめた本で、部位ごとに内容が集約されている
- 胃の解説に 2 ページしか割かれていないなど、情報が広く浅い
カラーアトラス
解剖学カラーアトラス 第 8 版 A Photographic Atlas
2016(原著 2016)
- ほとんどがリアルな解剖写真
- 写真と共に図解イラストが対照されており理解が捗る
- 図とアノテーションしか無いため、機能理解は他の本に頼る必要がある
- ユニークな点として、胎児の矢状断面図が掲載されている
人体解剖カラーアトラス 原著第 8 版 Clinical Atlas of Human Anatomy
- こちらも基本的にアノテーションのみだが、注釈的説明が若干多め
- 解剖学カラーアトラスと比べて 140 ページ少ない
- 腹膜のヒダの写真はこちらにしか載っていない
アプリ
Human Anatomy Atlas
https://apps.apple.com/jp/app/human-anatomy-atlas-2021/id1117998129?l=en
- 毎年 11 月から 12 月頃にセールをしている
Web サイト
- 1 年生の解剖学辞典 - https://anatomy1.net/
- 医学生の教科書 - https://store.isho.jp/
知見
- 食道は腰椎と胸大動脈の前方、気管と心臓の後方を通る
- 横隔膜のすぐ上方に心臓、すぐ下方に胃がある
- 食道の正常な内径は 20mm
- 食道には縦走ヒダが走っているが、Z 線を超えると胃底となり模様が変化する
- 噴門括約筋は横隔膜食道裂孔の筋肉が代行しており、ジグザグ状であるので Z 線と呼ばれている(リング状に筋肉が縮まるのではなく、ジグザグ状の縦筋が縮まることで噴門を締め上げている)→ プロメテウス胸部 p. 168
- 心臓はわずかに左にずれているため、左肺は右肺より小さい
- 憩室といえば大腸だと思っていたが、食道にも発生する → プロメテウス胸部 p. 169
- 「滑り説」筋収縮のメカニズムの学説のひとつ
用語
- 翻転(ほんてん) - 組織をひっくりかえすこと
- 腋窩(えきか)
- 網嚢孔(もうのうこう)
- 横紋筋(おうもんきん)と平滑筋(へいかつきん)
- 蠕動運動(ぜんどう—)